夜の中にある火のゆらぎ。はぜる薫りがとても好きだ。
ぱちぱちという音、顔の皮膚がほんのりとあぶられる感触。
静かな暗さの中で、火の周りだけが色を持って見えてくる。
ゆっくりとながめていると、火のなかにすいこまれそうな。
世界がじぶんと火のあかりだけになったような静かな孤独。
でも、やんわりとしたくらがりと火のあたたかさ。
暗がりの中に、見えないものが近づいているような張り詰めた気配もあり、じぶんのうなじが、ちりっと鋭さを持つ瞬間もおとずれる。
静かなもののなかにある、かすかな動き。
火の形がいろいろなモノにみえ、聞こえてこない声を想像する。くらがりと火の動きのあいだに見えないものがある余地があることが好きである。