「落ち込んでいるんだね。それに気づけたのだから、わたしは大丈夫」
落ち込んでいると感じられていること。
体の中に、落ち込んでいる感覚があるとわかっていること。
……それがわかるということは、わたしは今の自分、そのままでいるということ。
落ち込んだ気持ちから抜け出そうと無理はしていないということ。
抜け出すことに意識を向けすぎて、じぶんではないほかの何かに分かれていないということ。
じぶんが、じぶんのままで「落ち込んでいる」ことに、まずは祝福を!
落ち込んでいる自分がいるときは。
おちこんでいるんだな、とじぶんの身体の感覚を観察する。
そして、ゆっくり。じぶんを抱きしめる。
今、落ち込んでいるんだな。
そうだね、今。落ち込んでいるんだね。
落ち込んでいるときは、暗いようすがゆらいでいることを
目でみて、耳できいて、肌でかんじて。
からだの感覚を使って、おちこんでる様子をながめる。
あかりをつけない部屋の、窓の近くからぼんやり空をながめる。
月が見えることもあるし、近くの建物の明かりが見えることもある。
耳には、耳せんつけて。じぶんの内側で聞こえてくる音や感触をひろいあげる。
自分は、くじらか潜水艦になって、海の底にいることにする。 薄暗がりの中でみるカーテンは、水面をながめているみたい。
くじらも潜水艦も、海にもぐる。暗い場所へ入っていく。
けれど、息をするときは水面に、じぶんの力で上がってくる。
落ち込んでいるじぶんも、今は暗い場所に入っているだけ。
夜は、ヒトを休ませる力を持つ。
くらがりは、おそろしさをもっているけれど、何かを生む場所でもある。
落ち込んでいるのは、今、くらがりにいるというだけのこと。
いずれ、じぶんで上がることができるから。
いまは、くらがりを感じておく。
そして、じぶんを抱きしめる。
今の感覚、おちこんでいるなと知っておく。
そうすれば、いずれ生まれる。息をするために外に出る。