自律訓練法は、自律神経を訓練する方法。不安や緊張などのストレスをゆるめて、もとある自分のリラックスしている身体に整えるもの。
自律訓練法とは?
「心療内科などの医療機関では、身体的な疾患の背景に不安や緊張状態が関与していると考えられる病気の治療に自律訓練法を用い、症状の改善を目指しています」(日本自立訓練学会HP)。
- 背景公式: 気持ちがとても落ち着いている
- 第1公式: 手足が重い (四肢の重感)
- 第2公式: 手足が温かい(四肢の温感)
- 第3公式: 心臓が静かに打っている(心臓調整)
- 第4公式: 呼吸が楽になっている(呼吸調整)
- 第5公式: お腹が暖かい(腹部温感)
- 第6公式: 額が涼しい(額涼感)
- 最後に「消去動作」をして催眠から覚める
自律神経とは
わたし達の意思にかかわらず自動的に身体を動かしてくれている神経たちが、自律神経。呼吸、体温、消化・吸収。排泄、免疫などを担当している神経で、自分でコントロールすることは難しい。
自律神経には、交感神経と副交感神経がある。
交感神経は、活動を支えてくれている神経。活動的に動いているときは、交感神経が多めに頑張ってくれている。 はやい、収縮、硬い。を担当している。。
副交感神経は、休憩モードを支えてくれている神経。身体を休めて力を蓄える。ゆっくり、拡張、やわらかいを担当している。
身体の調子が整っているときは、交感神経と副交感神経がそれぞれに譲り合って仕事をしてくれている。けれど、そのバランスが乱れてくると、身体に不調が現れる。症状が重くなってくると「自律神経失調症」となる。
自律訓練法を、少しやってみる
少し体調がすぐれないかな。
リラックスしたいな。
そういったときに、試してみたいのが自律訓練法。3~5分間で終える簡易バージョンでどうぞ。
簡易バージョン(第2公式まで)をやってみよう
「自律訓練法」 簡易バージョン
- 背景公式:気持ちがとても落ち着いている
- 第1公式: 手足が重い (四肢の重感)
第2公式: 手足が温かい(四肢の温感) - 消去運動
※背景公式から消去運動までを終える時間は3~5分以内とする。
「重い」「温かい」がイメージできなくても、大丈夫。
環境が大切。自分が安心できる場所、落ち着いてできる場所や落ち着く時間を選んでやってみる。
わたしは眠る前に、ゆっくりと。
背景公式:気持ちがとても落ち着いている
力を抜いて楽な姿勢をとる。ベッドなどであおむけになり、楽な姿勢でだらりと。
目をかるくつむって、呼吸はゆっくり。息を吐いてはいて、自然と吸うように。ゆっくり呼吸する。
そして、いつもの呼吸に戻ったら、身体の力をだらりと抜いて第1公式へ。
第1公式:手足が重い
まずは利き腕から、重みを意識してみます。そうすることで、体の重みを感じ取る(右利きの人用にフレーズを書きます)。
「右腕が重たい」⇒ 右腕が重たくなってきた(ような気がする)
「左腕が重たい」⇒ 左腕が重たくなってきた(ような気がする)
「右脚が重たい」⇒ 右あしが重たくなってきた(ような気がする)
「左脚が重たい」⇒ 左あしが重たくなってきた(ような気がする)
「両腕が重たい」 ⇒ 腕全体が重たくなってきた(ような気がする)
「両脚が重たい」 ⇒ あしが2本とも、ずっしり重みをもってきた(ような気がする)
「両手両脚が重たい」 ⇒ 両手両足がずしりと重たくなってきた(ような気がする)
身体のもつ重みを自然と感じ取る。余分な力が抜け、身体の感覚をつかみやすくなっていく。
続いて、第2公式へ。
第2公式:手足が温かい
第2公式(手足が温かい)も第1公式と同じように、まずは利き腕から温かさを感じていく、手足の温かさに意識を向けていく(右利きの人用にフレーズを書いておきます)。
「右腕が温かい」⇒ 右腕が温かくなってきた(ような気がする)
「左腕が温かい」⇒ 左腕が 温かく なってきた(ような気がする)
「右脚が温かい」⇒ 右あしが 温かく なってきた(ような気がする)
「左脚が温かい」⇒ 左あしが 温かく なってきた(ような気がする)
「両腕が温かい」 ⇒ 腕全体が 温かく なってきた(ような気がする)
「両脚が温かい」 ⇒ あしが2本とも、ほんわり温かくなってきた(ような気がする)
「両手両脚が温かい」 ⇒ 両手両足が ほんわり温かくなって きた(ような気がする)
あたたかさはリラックスできている証拠。リラックスできると手足の温度を感じ取れるようになる。また、身体がリラックスできると人の体温はゆるりと上がる。
続いて、消去運動。
消去運動は必ず行う
第1公式も第2公式も、どちらも自分で自分にかける催眠術の要素を持っている。催眠術からは覚めて現実へと身体を引き戻す。
- 両手を強く握ったり、開いたりする
- 両手を組んで大きく伸びをする
- 首や肩をよく回して、からだをほぐす
催眠から目覚めたそのとき、身体がふらっとすることもある。立ち上がるときはゆっくりと、お気をつけて。
注意点は?
はじめのうちは、重みやあたたかさを感じ取れないように思えて、つい長くしてしまいがち。 背景公式から消去運動までを終える時間は3~5分以内と、かける時間をはじめから決めておく。
重みや温かさを感じ取れなくても大丈夫。身体の力は抜けているはずだから。
タイマーで3分間(はじめのうちは5分間)をセットしてから、背景公式:気持ちがとても落ち着いているに取り組み始める。タイマーの音は、ここちの良い音がいい。 びっくりするような音にしておくと、力を抜いているところにざっくりと切り込まれたような気分になって、かえって落ち着かない。
意外と体の力が抜けてリラックス効果のある自律神経訓練法だから、これからがっつり頑張るぞ、という直前にはお勧めしない。
わたしは寝る直前に、タイマーをかけずにさくさくとやってみるのがお気に入り。消去運動も、ベッドの上でごろごろしたり、手足を上にあげてぶらぶらするゴキブリ体操をしたりで終える。
そうすると、朝の目覚めが。いつもに比べて少しだけ、すっきりしているように思う。