「会社はしばらく休んでください。診断書をお渡しします。あなたはうつ病です」
微熱が続き、駅の階段でめまいをおこして転落した後。連れてゆかれた内科で、精神科への紹介状をもらった。おそるおそる足を踏み入れた精神科で伝えられたのが「うつ病です」。
ちょうど15年ほど前の夏のことでした。
うつ病だと自分が知った時から休むまで
それを聞いた当時、目の前が真っ暗になった。一番にあたまに浮かんだのは「迷惑をかける」だった。そして、あたまが一気に情報であふれた。
会社へ行けない。今、手掛けているしごとから離れなければいけない。ぎりぎりの人数でまわっている現地調査から一人(わたし)が抜ける。秋に始まるチーム調査の下準備がまだ終わってない。……どうしよう。
会社に迷惑をかける。チームにも迷惑がかかる。お客さんには、先日、はじめましてのご挨拶をしたのに抜けなければいけない。どうしよう。
あたまのなかで、ぐるぐると回るのは仕事のことばかり。じぶんの身体のことも、うつ病のことも、全く頭に浮かんでこなかった。
けれど、どこか安心する部分もあった。これで休める。もう頑張らなくていい。女性でも同じように仕事はできると周りに認めさせるために、倍は働かねばと頑張らなくてもよくなった。もう悲しんでもいい、目覚めなくてもいい。
「とにかく、今は。ゆっくり休んでください」
会社を長期に休みはじめた(休職のはじまり)
診断書には、休職1か月を要すると記入されていた。会社に戻り、上司と相談して翌週から会社を休むことになった。最終的に、このときの長期休みは8か月続いた(8か月後に復職した)。
診断書の他、睡眠導入剤や抗うつ薬も処方された。薬も飲み始まった。
休み方がわからない
そこから「頑張って」休む練習(?)が始まった。けれど、休み方がまったくわからない。
これまで、休日は洗濯をしたりそうじをしたり。本を読んだり。家でおとなしく体力の回復を待つことが多かった。 仕事で山や川を歩いていたから、外へ遊びに行くのはもういい。人ごみもめまいがする。買い物はお金が減るのが怖い。
がんばって休もうとするのに、休み方がわからない。
眠る練習を始めた
休みたいのに、ぼんやりできない。頭のなかがうるさい。眠れない。
休職して最初の診察をうけたとき、精神科の先生が教えてくれた「眠る練習」。休職して最初に始めたのは眠る練習だった。
【眠る練習】
- 夜は22時までに眠ること。眠れなくても布団の中に入って目をつぶること。
- 朝は6時まで、布団から出ない。目が覚めていても横になったまま、外の音や自分の中から聞こえる音を聞くこと。
- ひとりで過ごす時間をもつこと。ぼんやりすること。
- 本を読む(PCで文字を読む)のは20時まで(布団に入る2時間前まで)
休職のはじまりを振り返る
休職しはじめたばかりの頃は、気力も体力もほとんどなかった。とにかく、身体を休めること、眠ることが目標になっていた。
処方された薬は、精神科で出された薬。そのことにとても抵抗があったけれど、薬を飲むことでこのしんどさがなんとかできるのだから。とりあえず飲もう。お医者さんや薬剤師さんに教わったように、薬を飲むことにした。
【休職のはじまりにしていたこと】
- がんばって休む、ぼーっと過ごす
- 眠る練習
- 薬を飲んでとにかく休む